コンサーティーナ(concertina, English concertina)
●コンサーティーナとは
コンサーティーナ(concertina)とは、アコーディオン族のフリーリード楽器(アコーディオンやハーモニカと同じ)で、ベロー(蛇腹)の両側にボタンが付いています。
アコーディオンのようなコードボタン(1個で和音が出せるボタン)はなく、ボタンを押すと単音が出る仕組みです。
主にイギリスとドイツで――しかも別個に――発展してきた楽器で、イングリッシュタイプは1829年に生まれ、その5年後にジャーマンタイプが誕生しています。
ちなみに、タンゴで有名なバンドネオンは、ジャーマンタイプが基になって作られました。
そう考えると、コンサーティーナは「アコーディオン族の原型」と呼べるかもしれません。
ヨーロッパの民族音楽には欠かせない重要な楽器です。
●日本のコンサーティーナ
コンサーティーナは日本ではほとんど普及しておらず、一部のマニアがそれぞれに奏法を研究して楽しんでいるのが現状で、教本も取扱説明書のようなものしかありませんし、もちろん体系的な教育課程などありません。
一口にコンサーティーナといっても、大きく3タイプに分類され、前述のイングリッシュ、ジャーマンに加えて、英独折衷型のアングロタイプ(アングロ・ジャーマン・コンサーティーナともいう)があって、世界中で見るとこのタイプが最も普及しています。
ぱっと見は似た印象でも、たとえばアングロ・コンサーティーナは押し引き異音、イングリッシュ・コンサーティーナは押し引き同音で、すぐに持ち替えて演奏できるようなレベルの差異ではありません。
蛇腹を押しても引いても音が変わらない(同じ音のリードが2枚ずつある)とっつきやすさと、どの調の曲でも――難易度の差はあっても――弾ける点で、これから始める方にはクロマチック・イングリッシュ・コンサーティーナ(押し引き同音ですべての半音が出せる)がお勧めです。
イングリッシュ・コンサーティーナ、ジャーマン・コンサーティーナ、アングロ・コンサーティーナは、すべて「コンサーティーナ」という名称は共通していても、奏法(主に指使い)の違いを考えると、もはやまったく別の楽器と見なしたほうがよさそうです。
●「コンサーティーナ」の表記について
そもそも日本でほとんど認知されていない楽器だけに、表記も統一されておらず、「コンサーティーナ」だけでなく、コンサーティナ、コンセルティーナ、コンセルティナ……といった表記が散見されます。
イタリア語ならコンチェルティーナか。
語源は「concert」に縮小辞「-in」を付けて女性形「-a」に変化させたもので、ストレス(強勢)は「i」に付くので、発音に忠実に表記すると「コンサーティーナ」が近いかと思っています。
●新潟市のメイフェアでコンサーティーナを演奏
先日(2011年4月17日)、新潟市のメイフェアで音楽イベントがあり、イングリッシュ・コンサーティーナでナポリターナの「サンタ・ルチア」を弾かせていただきました。
そのうちにコンサーティーナ奏者を集めて、コンサーティーナだけの音楽会も開催できたらと思っています。
興味のある方は、
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