「通る声」の出し方(共鳴発声法のボイストレーニング)
「通る声」とは
「通る声」という概念があります。
「大声」とイコールではありません。
フォルテでも通らない声もあれば、ピアノでもきれいに通る声もある。
通る声と通らない声は、何が違うのか。
答えは、「共鳴」です。
共鳴が適切な声が通る声、共鳴が下手な声が通らない声です。
通らない声とはどんな声か
「通る声」の説明をする前に、逆の「通らない声」を知っておきましょう。
なぜなら、どちらかというと「通らない声」のほうがわかりやすいからです。
ボソボソとか細くつぶやくような声が通らないのはわかりますね。
空気がスカスカと漏れるハスキーボイスも、通らない。
ところが、「大声なのに通らない声」もあるのです。
それは、「共鳴を使わずに圧力だけで声量アップしている声」。
聞いた印象としては、「がんばって張り上げている声」になります。
具体例を挙げれば、保育士が園児たちに向かって叫んでいる声。
実際、発声を教わらずに仕事を始めた保育士は、あっという間に声帯にトラブルを抱え、まるで職業病のように「嗄声」(しゃがれ声)になってしまいます。
共鳴を使って増幅させた「通る声」はちゃんとターゲットに届きますが、がんばって張り上げた声は、ただうるさく聞こえるばかりで、ちっとも届かない。
通る声を出すには、共鳴発声法によってマスケラ(アイマスクをつける位置。眉間を意識するとよい)に共鳴を集め、声を増幅させる必要があるのです。
鼻声にならないように
共鳴発声法で「通る声」を出すには、口元でしゃべるのではなく、声を上向きに持ち上げます。
声が口先から出る感覚ではなく、鼻腔を通ってマスケラに響き、抜けていくイメージです。
ただし、鼻声にならないように気をつけてください。
鼻声は口蓋垂が下がった状態で発生する声で、鼻が詰まっているときにも鼻孔に向かった呼気を口から逃がすためにこの状態になるせいで、鼻声になります。
「鼻が使えないときに鼻声」とは、妙な気もしますけれどね。
鼻腔に響かせるトレーニングをすると、鼻声になってしまう人が必ずいますから、気をつけましょう。
最初はやり過ぎていい
先日、メイフェアでおこなったボイストレーニング講座(魅力アップ講座)で、共鳴発声法の指導をしました。
口を縦開きにして、共鳴をマスケラに集められるようになると、途端に声が通るようになります。
共鳴のコントロールに習熟するまでは、「通りのよすぎる声」になってしまうかもしれませんが、気にしなくても大丈夫です。
(続く)
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